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誰もが暮らしいやすい地域に!あいサポートメッセンジャーの活動に迫る【あいサポート運動×鳥取ぺんぎんVol.2】

こちらの記事は、「あいサポート運動×鳥取ぺんぎん」コラボ企画の記事第2弾です。

「あいサポート運動」は、平成21年の11月に、鳥取県から始まりました。現在はその輪が広がり、全国8県と23市町、その他3,000以上の企業などが参加しています。
そんな鳥取県から始まった「あいサポート運動」をもっとみなさんに知ってもらいたい、運動の輪を広げていきたいという思いから、「あいサポート運動×鳥取ぺんぎん」コラボ企画【あいサポ+ぺんぎんプロジェクト】が始動しました!
前回の記事では、【「あいサポート運動」とは?】をテーマに、鳥取県障がい福祉課職員さんへのインタビューの様子をお届けしています。そちらの様子はこちらからどうぞ。
今回の記事では、「あいサポート運動」が始まった当初から「あいサポートメッセンジャー」として活動を推進している社会福祉法人敬仁会の石田留美さん、福田美紀さんへのインタビューをお届けします。
メッセンジャーとしての活動内容、活動を通して感じたこと、これからのことなど色々と伺い、みなさんにも、活動をより身近に感じてもらえる内容になっています。ぜひ、ご覧ください!
目次
はじめに・・・「あいサポート運動」を簡単にご紹介
「あいサポート運動」
平成21年11月に鳥取県で始まり、現在はその輪が広がり全国8県と23市町、
その他3,000以上の企業などが参加しています。



今回取材した「あいサポートメッセンジャー」の方々
今回、取材を受けてくださったのは、社会福祉法人敬仁会で、障がいのある方への支援に携わる傍ら、「あいサポートメッセンジャー」として活躍されている石田瑠美さんと福田美紀さんです。お二人の活動について詳しくお話を伺いました。
お二人が「あいサポートメッセンジャー」になったきっかけを教えてください。

私たちの事業所では、自分たちの持っている知識を地域に還元したり、地域貢献をしたいという思いを抱いていました。しかし、それを発信したり、具体的な行動に結びつけることが出来ていませんでした。
そんな時、「あいサポート運動」を知り、これは私たちの思いを形にできる良い機会だと感じたのです。「あいサポート運動」を通じて、地域の方々に私たちが持っている知識や経験を少しでも伝えていけたらと思い参加したのが始まりでした。
鳥取県からの発信で「あいサポート運動」を知り、参加することで自分たちのやりたいことにつながると感じたのですね。
「あいサポートメッセンジャー」の活動とは
「あいサポートメッセンジャー」としての具体的な活動内容を教えてください。
メッセンジャーの活動としては、大きく二つあります。
一つ目は、講師として登壇する研修の実施です。メッセンジャーそれぞれが、あいサポーター研修の講師として、企業や学校などで研修を行なっています。


研修内容は希望に応じて都度変わりますが、障がいに関する知識や理解を深めていただくための講義やワークショップが中心になっています。
二つ目は、啓発活動です。地域イベントなどに参加し、啓発活動を行っています。


最近では、敬仁会が主催する「ふれあいはあとまつり」や鳥取県主催の「あいサポートフェスとっとり2024」などのイベントに参加しました。中部圏障がい者自立支援協議会主催の「中部あいサポートフェスタ」には毎年参加しています。
メッセンジャーのみなさんそれぞれが主体となって研修や啓発活動を行うことで、その思いや熱量がより伝わりやすくなりますよね!素晴らしい活動だと思います。
これまでの活動で印象に残っていること
福田さんがこれまでに印象に残っている活動を教えてください。

先日、小学校を訪問する機会がありました。
行く前は、どのように子どもたちと関わればいいのだろうと緊張していたのですが、子どもたちのキラキラした瞳と、「知りたい!」という強い気持ちに圧倒されました。
活動を始めた頃とは違い、学校でも手話をやっていたり、手話や障がい者への配慮についても理解している子がいることに嬉しくなりました。
子どもながらに理解しているとは驚きです!最近「多様性」というキーワードをよく耳にしますが、日本の教育現場も「多様性が当たり前」な時代へと変化してきているのかもしれないですね・・・!
そうですね。大人に話をするのとはまた少し違った感じで、この子どもたちがこれから、当たり前のこととして広げてくれるのではないか、と思ってすごく印象に残っています。
続いて、石田さんがこれまでに印象に残っている活動を教えてください。
敬仁会があいサポート企業になった当初、私を含め4人のメッセンジャーを中心に、法人内の全事業所をまわり、あいサポーター研修を行ったことが印象に残っています。

また、朝礼の時間に手話講座をして手話を学ぶ機会を設けたことも印象的ですね。
その頃には外部からの研修依頼も増えてきて、法人内でも外部でも、敬仁会のメッセンジャーのみんなで、「あいサポート運動」を広めていきました。
ありがとうございます。4人で法人内の全事業所を回って研修して・・・と聞くと、なかなか大変そうなイメージですが、そういった地道な活動が、「あいサポート運動」の認知拡大や理解促進に繋がっていったのですね・・・!
そうですね。最初の頃の活動は地道ではありましたが、その分、同じ意志を持つメンバー同士で目的を持って全力で取り組んだので、特に心に残っていますね。
活動を通して感じた“自身の変化”
「あいサポートメッセンジャー」としての活動を通して、ご自身にどのような変化がありましたか。
(石田さん)私は手話に興味が湧き、手話講座に行ったり、手話検定を受けたりしたことで、コミュニケーションの幅が広がったことが大きな変化だと感じています。実際に手話で挨拶や会話をするのも、すごく楽しいです。
また、毎年ある「手話パフォーマンス甲子園」だったり、「あいサポート運動」に関連する様々なイベントにも出かけるようになったのも、自身の変化の一つだと思います。実際にそういったイベントなどに参加することで気づくことも多く、自身の活動の幅が広がっていると感じています。
ありがとうございます。「あいサポートメッセンジャー」になったことで、新たなスキルが身についたり、活動外の時間の過ごし方も変わったり・・・と、大きな変化が生まれているんですね!
そうですね。例えば、障がいに関するマークにしても、実際に目で見ることで、色々な気づきが生まれます。そうやって実際に体感して色々気づいたことを「今度のあいサポーター研修で伝えよう」というふうに考えるようになりました。

(福田さん)私はもともと、人と話したり、人前で話をしたりすることが得意な方ではありませんでした。
どちらかというと人見知りなところもあったのですが、「あいサポート運動」を通じて人との出会いを大切にするようになりました。
なるほど・・・!人と話したり人前で話す機会も増えたことで、ご自身が抱えていた「苦手」の克服にも繋がったのですね!
もちろん今でも緊張はありますが、「出会えてよかった」「話ができてよかった」と思うことの繰り返しで、活動の原動力になっていると感じます。結果的にたくさんの方に出会えましたし、それが活動の原動力になっている部分もあります。
お二人とも、ありがとうございます!メッセンジャー活動での出会いや経験が、
お二人により良い変化をもたらし、それがお二人の人生の糧となっているんですね・・・!
活動を通して感じる“地域の変化”
「あいサポート運動」が地域に与えている影響・変化について教えてください。
(福田さん)「あいサポート運動」が始まった15年前と比べると、大きく変わったなと感じています。特に手話や指文字に対する意識の高まりを感じます。
当初は、手話に戸惑いを感じる方がほとんどでしたが、今では小学生が自ら手話で自己紹介をしてくれたり、「指文字知ってます」という方もすごく増えました。
あいサポート関連のイベントや、企業や学校での取組も増えました。これらは、鳥取県から始まった「あいサポート運動」が推進されてきた結果だと思っています。

(石田さん)障がいのある方だけではなく、地域住民全体の包括的な理解に繋がっていると感じています。
地域にも認知症の方や外国籍の方、人との関わりが得意・不得意な方だったりと、色々な方がいます。困り感もそれぞれ色々あるけれど、地域にどんな人がいて、どんな支援・配慮が必要なのかというのを知るきっかけになっていると思います。
最近では、防災訓練を実施したときに、あの人いるかな、声かけたかなというような声を聞くこともあるので、その辺りも変化してきているなと感じています。
今後の展望
「あいサポート運動」の輪をさらに広げていくために、今後どのような取組をしていきたいですか。

「あいサポート運動」を企業にももっと広げていきたいですね。
県の補助金制度を活用して、様々な所のスロープや音声案内などのハード面を整備していければ、視覚障がいや聴覚障がいのある方など、様々な方が利用しやすくなります。
誰もが当たり前に使える場所が増えることで、支援体制の課題解決にも繋がり、安心して暮らせる社会になっていくのではないかと思います。
私たちが発信していくことで、ハード面が整っていき、結果的に障がい者だけでなく、高齢者や妊婦の方、子どもたちにとっても良い環境になっていくような動きをしていけたらと思っています。
まずは、私たちの地元である鳥取県が始めた「あいサポート運動」に興味を持っていただきたいです。そして、興味を持っていただいたら是非、「あいサポーター」になってほしいです!
最後に:「目指す社会」と、読者のみなさまへのメッセージ
今後どのような社会を目指していきたいですか。

(福田さん)“「あいサポート運動」がなくてもいい社会”ですかね。「あいサポート運動」がなくても、誰もがお互いを尊重し、助け合えるような社会、地域を目指したいです。
障がいのある人もない人も、地域の一員として当たり前に暮らしていく。そうなっていくように、これからも活動していきたいです。
「あいサポート運動」をしていながら「あいサポート運動」のない世界を目指す・・・究極の目標のような感じがします!
私たちにできること
普段の生活で、「私たちが出来ること」はなんでしょうか。

(石田さん)「困っている人がいたら声をかける」ことですかね。当たり前のことのように思えますが、実際に声をかけることは勇気がいると思います。
まずは、近所の方に「元気ですか?」と声をかけるだけでもいいと思いますし、困っている人がいたら「何か手伝いましょうか?」と手を差し伸べることができたら素晴らしいと思います。
このような意識、思いが地域住民同士を支え合い、誰もが安心して暮らしやすい社会に繋がっていくと思います。
取材後記
今回の取材を通して、「あいサポート運動」が地域社会に与える影響の大きさを感じました。運動が始まった15年前と比べ、地域の方々の反応も大きく変化し、意識も変わってきました。これは、鳥取県をはじめ、あいサポーター、あいサポートメッセンジャーのみなさんの大きな成果ではないでしょうか。
目指すところはまだまだ先にあるので、今後も、様々な活動を通してより多くの方々に障がいについて理解を深めてもらえるよう、取組を続けていくとのことでした。
「あいサポート運動」は、私たち一人ひとりの小さな一歩から始まります。何も難しいことをする必要はありません。まずは知る、理解するところから始め、自分にできることをやっていこうと思います。
みなさんも鳥取県から始まり各地に広がっている「あいサポート運動」をまず知るところから、ぜひ始めてみませんか!